1961年(昭和36年)福島県白河市に生まれる。
中学、高校時代はバスケットボール部の選手として活躍した。毎日の厳しい練習で培った体力と精神力が、画家として仕事に向き合う根底にあったという。
画家の道を意識したのは大学受験の時で、父 敏雄が主体美術協会会員、高校の美術教師であったことから、身近に絵画があり、絵を描くことは好きであったので 自然と選択していた。
また、ハリストス正教会の信徒であり、幼い頃から教会に飾られているイコン(聖像)絵画は特別な存在であった。
大学時代は、アトリエよりも図書館に通いつめ、遺跡やアンアパヴロアなどの写真集を眺めていたという。当時はインカ模様などを取り入れ、金箔を使った平面構成を意識した作品を制作していた。
東京造形大学研究科在学中に、「夜と霧」が阿方 稔と野田弘志の目に留まり、白日会への出品を勧められる。
平澤の作品を観た途端、有無を言わせずに決めてしまったと、阿方 稔は当時の気持ちを書き残している。
「この若者を逃してなるものか」それほどにもインパクトの強い作品だったと。
1987年第63回白日会展に初出品。以降毎年出品し、入賞を重ね頭角を現していった。
1992年にはM賞、1996年S美術賞、1998年文部大臣奨励賞、そして2015年には内閣総理大臣賞を受賞し、白日会、画壇、美術界で写実系画家の中核として長年にわたり活躍し続けた。
平澤作品は、映画や音楽、写真などのイメージや幻想の世界に、愛する家族や品々を融合させ、独自の世界を作り出している。
幼い頃より、イコン絵画に触れていた環境から宗教的な精神世界を感じさせ、そこに確かな取材や体験に基づくリアリティが加わることで、観るものに重厚感を与えている。
また、モチーフにも強いこだわりがあり、木彫りのマリオネットを自作したり、絵に映えそうと購入したカメラや時計は、故障しても独学で直し動かしてしまうほどであった。
愛する家族をモデルにしている事も特徴である。白日会展には1987年の初出品から2018年まで、毎年家族を描いた作品を出品している。
家族を大切にし、妻子への深い愛情が強く伝わる作品を数多く生み出した。
闘病の末、57歳という若さで逝去してから時を経てもなお、幻想とリアリティの間を漂う独特な「平澤 篤の世界」は、私たちを魅了してやまない。
本展覧会では前期・後期に分け、白日会展出品作品を中心に約70点を展示致します。
「Time piles up in the soul ~時は魂の中に積もる~」をテーマに描かれた平澤作品をどうぞご高覧下さい。
会期 | 前期:10月2日(水)~11月10日(日) 後期:11月13日(水)~12月22日(日) |
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後援 | 調布市 流山市 流山市教育委員会 |
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